行政書士試験に独学で合格する方法

はじめに~計画的な学習のためのマインド~

行政書士試験は毎年11月に行われる試験で、300点満点中180点以上で合格となります。合格率は約10%です。合格レベルの知識に到達するための学習時間の目安は、法律の学習経験がある人は600時間程、初学者は1000時間程と言われております。もし初学者が1年間で合格を目指す場合、毎日3時間を目安として勉強する必要があります。

試験日まで毎日勉強を続けるための重要なマインドの話をします。まずは、モチベーションに頼ることをやめましょう。理由はやる気のない日や疲れている日は勉強しなくなってしまうからです。

では、どうしたらよいのでしょうか。その1つの方法は、勉強を「習慣化」することです。

1日のうち、〇時から勉強をはじめるという「開始デッドライン」を定め、その時間になったら必ず勉強するようにします。はじめのうちは辛いかもしれませんが、20日間は我慢して続けてください。20日間続けた行動は習慣になると言われております。この状態になることが試験合格のための第一歩となります。

勉強を習慣化したとしても、疲れ等でやる気がでない日がきっとあると思います。そのような日は、辛くなったらすぐにやめてもいいので、1分間だけ勉強するようにしてください。すると、はじめた行動を途中でやめたくないという心理が働き、気が付けば1分以上勉強していることが多いです。全く勉強しない日を作らないための、非常に効果的な方法です。

自分にできる努力は全てやってから試験に臨みましょう。

ちなみに私はこの記事で紹介する勉強方法で独学228点で合格しました。

↓ 私の行政書士試験の得点表です。↓

お勧めの教材

・合格革命 肢別過去問集

・LECウォーク問(肢別ではないもの)

・LECウォーク問一般知識編

・合格革命 千問ノック

・合格革命 記述式問題集

・LEC模試(書店等で販売しているもの)

・六法(行政書士ミニマム六法)

・大原のアプリ(一般知識のみ)

・YouTube(佐藤先生の独学応援チャンネル、にしぴーさんの独学サポートチャンネル、憲法の3歩さんぽチャンネル判例編がお勧めです)

※私は基本書は不要だと考えております。理由は下記で述べます。

学習の進め方

基本的に、肢別過去問集を何回も周回する勉強になります。試験までに最低10周はしてください。本番の試験は、難しい選択肢がたくさんある中で、この肢別過去問集に載っている知識の選択肢を探すゲームです。そのため、不安かもしれませんが、他の教材に手を広げすぎず、肢別過去問集を100%理解できるように努力することが行政書士試験合格の最短ルートとなります。

基本書でインプットしてから問題を解くというやり方はお勧めしません。なぜなら、いきなりインプットしようとしても、理解できるわけでも暗記できるわけでもなく、時間の無駄になりやすいです。最初から過去問を解き、わからなかったらすぐに解答を読むアウトプット中心の勉強をしていきましょう。解答を読んでもわからない問題があってもそこで止まってはいけません。試験範囲が膨大にあるため、どんどん先に進みましょう。何度も過去問を周回するうちに知識と知識が繋がって自然と理解できるようになっていきます。

また、可能であれば、食事の時、会社に行く支度をしてる時や家事をしている時、通勤時間等、耳が空いている時間があればYouTubeで無料講義動画を視聴するのがお勧めです。聞き流すだけでも知識の整理の手助けとなります。スキマ時間に大原のアプリで一般知識の問題を解くのもおすすめです。

時間は「ない」のではなく、「生み出す」ものです。無駄を省いて時間を生み出し、効率よく勉強していきましょう。

科目ごとの勉強の優先順位

民法、行政法>>憲法>基礎法学、一般知識>会社法 です。時間は限られています。間違っても優先順位の低い科目に時間を使いすぎることはやめましょう。

初学者が1年で合格するための学習のスケジュール

 勉強の時間配分の目安です。

11月  

民法3時間/日(肢別過去問集)

12月  

民法1時間、行政法2時間/日(肢別過去問集)

1月  

民法1時間、行政法1時間、憲法1時間/日(肢別過去問集)

2月  

民法1時間、行政法1時間、憲法30分、商法・会社法30分/日(肢別過去問集)

3月  

民法1時間、行政法1時間、憲法30分、商法・会社法15分、基礎法学15分/日(肢別過去問集)

4月  

民法1時間、行政法1時間、憲法30分、商法・会社法15分、基礎法学15分/日(肢別過去問集) 

※ここまでに民法と行政法は6周回せていると◎。憲法、会社法は3周回せていると◎です。

5月  

民法1時間、行政法1時間、憲法15分、商法・会社法15分、基礎法学15分、一般知識15分/日(ウォーク問)

6月 

民法1時間、行政法1時間、憲法15分、商法・会社法15分、基礎法学15分、一般知識15分/日(ウォーク問)

※5、6月はウォーク問で本番と同じ問題形式に慣れてください。2、3周回せれば充分です。

7月  

民法1時間、行政法1時間、憲法30分、商法・会社法15分、基礎法学10分/日(肢別過去問集、千問ノック) 一般知識5分/日(大原アプリorウォーク問) 模試1回/月

8月  

民法1時間、行政法1時間、憲法30分、商法・会社法15分、基礎法学10分/日(肢別過去問集、千問ノック) 一般知識5分/日(大原アプリorウォーク問) 模試1回/月

9月  

民法1時間、行政法1時間、憲法30分、商法・会社法15分、基礎法学10分/日(肢別過去問集、千問ノック) 一般知識5分/日(大原アプリorウォーク問) 模試1回/月

10月  

民法45分、行政法45分、憲法15分、商法・会社法5分、基礎法学5分/日(肢別過去問集) 一般知識5分/日(大原アプリorウォーク問) 記述式問題集1時間/日 YouTube(15分)/日 模試1回/月

※7月~10月は肢別過去問集を回しながら、月に一度、本番と同じように3時間計って模試に取り組んでください。模試で180点とれたかどうかは気にしなくて大丈夫です。また、間違えた問題を見直す必要もありません(難しすぎる肢を理解しようとしても時間の無駄となるため)。模試の目的は、記述で狙われる論点を予想すること、3時間という時間の中でどのような順番で問題を解いてどんな時間配分にするのかをあらかじめ確認しておくことにあります。

また、YouTubeで10月頃から記述の山あてを各予備校が出すことがあるため、確認して六法にチェックをいれていきましょう。

11月  

苦手問題を中心に全科目肢別過去問集を回す(1時間) YouTubeで各予備校の記述山あて動画を見て六法にチェックをいれる(1時間) 六法を素読(1時間)

試験超直前期です。最後まであきらめずに、自分にできることを全てやりましょう。ちなみに私は試験前日に行政法と民法の条文素読を12時間行いました。

※YouTubeで10月頃配信されるユーキャンの記述予想は毎年当たると評判です。要チェックです。11月は六法(行政法と民法のみ)を試験日まで素読して、記述予想されている条文を強引に短期記憶で頭に残します。記述問題は条文通りに書かなければ高得点狙うのは難しいため、正確に暗記しましょう。

試験の時間配分について

試験は3時間ありますが、問題数が多く、正直時間が足りません。1肢にかけられる時間は約27秒です。試験ではわからない問題で考え込まずに、わかる問題を確実に得点していくことを心掛けましょう。下記、私が試験問題を解く時の時間配分です。ぜひ参考にしてください。

  1. 記述問題をさらっと見て、忘れないうちに解答するためのキーワードや条文を問題用紙に残しておく。(5分)
  2. 一般知識の文章理解(15分)
  3. 行政法(40分) 
  4. 民法(20分)
  5. 文章理解以外の残りの一般知識(15分)
  6. 基礎法学(5分)
  7. 憲法(15分)
  8. 商法・会社法(15分)
  9. 記述(15分)
  10. 多肢選択(15分)
  11. 残り時間は見直し

行政書士試験申し込みの流れ

行政書士試験の申し込みは毎年7月中旬~8月中旬にかけて郵送かインターネットで行うことができます。受験手数料は2023年現在で10,400円となっております。申し込みの時期になりましたら、下記リンクをよく確認してください。

一般財団法人 行政書士試験研究センター (gyosei-shiken.or.jp)

行政書士試験当日の過ごし方

行政書士試験当日になりましたら、受験票、BかHBの黒鉛筆又はシャープペンシル、消しゴム、蛍光ペン(問題用紙へのライン引き用)、腕時計、六法、各自必要なもの(ハンカチ等)を持って試験会場へ行きます。試験会場に入ることができる時間よりも少し早めに到着するとよいです。試験会場では、六法で、民法と行政法の記述予想条文をひたすら読んで覚えることがお勧めです。

試験開始30分前より試験についての説明があります。15分程で説明が終了し、残りの15分は何もすることができない空白の15分となります。この空白の15分があるということを念頭に、何を考えるのか決めておくとよいです。ちなみに私は「僕なら合格できる、周りの人たちは受験料だけ納めて落ちるかもしれないけど、僕なら合格できる」とひたすら自己肯定感をあげていました(笑)

試験がはじまってから大切なことは、最後まであきらめないという事です。3時間の試験の中で、誰しも必ず3回はもうだめかもしれないと思ってしまう「絶望タイム」がやってきます。これは、試験センターの、意図的に難しくて知らない選択肢を問題に混ぜて受験者の心を折ろうとする策略です。その策略にはまらず、試験までたくさん周してきた肢別過去問集の知識を問題の中から探すゲームだと思って乗り越えてください。行政書士試験は300点中180点取れば合格ですから、難しい問題は解けなくても大丈夫です。わからない問題に時間を使わず適当にマークして次に進みましょう。ただし、肢別過去問集の基礎知識で解ける問題は1問もミスなく得点してください。

終わりに

行政書士試験に合格する方法について記事にまとめました。行政書士試験は一般知識等、何が出題されるかわからない問題がある故、若干運に左右される試験だと私は感じております。しかし、結局のところ正しい努力を正しい時間続けてきた人が合格することに変わりありません。この記事を読んで、日頃の勉強から試験が終了する最後の最後まで、あきらめずに合格する受験者様が増えてくださったら幸いでございます。心より、応援しております。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です