身内が亡くなった後の手続き~こんな時には?~
葬祭費を請求する
葬儀や埋葬を行った場合、一定の要件を満たせば費用の一部が支給されます。
故人が国民健康保険等に加入していた場合
故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していれば、葬儀を行った際に喪主に対して葬祭費が支給されます。
金額は地域によって異なります。
葬儀を行った日の翌日から2年以内に、市区町村窓口へ下記の物を準備して申請します。
・申請書(国民健康保険葬祭費支給申請書、後期高齢者医療葬祭費支給申請書など)
・葬儀の際の領収書や会葬礼状など
・故人の健康保険証
・運転免許証など申請者の身分が確認できるもの
・金融機関の通帳(コピーでも可)
・印鑑(朱肉を使用するもの)
故人が生活保護を受けていた場合
故人が生活保護を受けており、親族も葬儀費用を出すことが難しい場合、自治体の葬祭扶助制度がご利用いただけます。
葬儀の前に手続きを行う必要がございます。担当のケースワーカーや市区町村役場の福祉課などに相談してください。
埋葬費・埋葬料を申請する
埋葬を行った人に、埋葬日が支給されます。ただし、健康保険に加入している故人により生計を維持されていたことが条件となります。金額は5万円です。
故人が独身など、申請できる人がいない場合は、埋葬を実際に行った人に、かかった費用(上限5万円)が支払われます。
なお、退職などにより健康保険の資格を喪失していても、資格喪失3か月以内であれば申請することができます。
埋葬を行った日の翌日から2年以内に、故人の勤め先や健康保険組合に下記の物を準備して申請します。
・申請書
・埋葬にかかった費用の領収書
・死亡診断書のコピー
・住民票など(生計維持を確認できるもの)
遺族補償を申請する
仕事中に事故で亡くなった場合、遺族補償年金が労災保険から遺族に支給されます。
給付を受けるには、故人と生計を同じくしていたことが前提となり、妻以外は年齢や障害の要件を満たしている必要があります。
受給権者が複数いる場合、全員で均等に分けることになります。
受給権者がいない場合、遺族補償一時金が支給されます。
また、受給権者には、一時金として遺族特別支給金、遺族の数に応じた遺族特別年金が併せて支給されます。
なお、故人の葬儀を行った人には、葬祭費が支給されます。
5年以内(亡くなった日を含まない)に下記の物を準備して労働局等へ申請します。
・支給申請書
・死亡届の写し、戸籍謄本など
児童扶養手当を申請する
両親のどちらかが亡くなり、かつ18歳未満(または中度以上の障害がある場合は20歳未満)の子どもがいる場合、児童扶養手当が支給されます。
支給額は前年の全国消費者物価指数によって決まります。
支給を受けるには所得制限などの要件があり、また、子どもの人数によって支給額が変わります。
なお、実際に支給を受けた場合、毎年8月に「現況届」を提出する必要があります。支給対象の児童の名前や支給額が記載された書類が役所から届くため、署名・押印して返送します。
市区町村窓口に下記の物を準備して申請します。
・戸籍謄本(申請者と対象児童)
・所得証明書
・住民票(世帯全員)
・運転免許証など(請求者の身分が確認できるもの)
・マイナンバーがわかるもの(請求者と対象児童)
・金融機関の通帳(コピーでも可)
・印鑑(朱肉を使用するもの)
高額医療費の払い戻しを受ける
健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度の加入者が支払った医療費の自己負担額が高額になった場合、一部払い戻しを受けることができます。
ただし、入院中の食事代や差額ベッド代(基本以外の部屋を選択した場合に支払う費用)などは対象となりません。
なお、故人が複数の医療機関を受診していた場合や、故人と同世帯内で病院を受診した人がいた場合には、1か月の自己負担額を合算できる「世帯合算」という仕組みが利用できます。
また、直近の12か月に3回以上高額医療費の支給を受けている場合には、4回目以降の自己負担がさらに軽減される「多数該当」という仕組みが利用できます。
診療日を含まず2年以内に市区町村窓口(国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合)や各協会けんぽ(健康保険に加入していた場合)に下記の物を準備して申請します。
・高額医療費支給申請書
・病院に支払った費用の領収書など
・戸籍謄本など(故人と申請者の関係がわかるもの)
・故人の健康保険証
・金融機関の通帳(コピーでも可)
・印鑑(朱肉を使用するもの)
医療費控除を受ける
故人が亡くなる時までに支払ったその年の医療費が高額になった場合、準確定申告時に、一定の金額の所得控除を受けることができます。
年間で10万円を超える場合や、故人の所得の5%(所得が200万円未満の場合)を超える場合が対象となります。
医療費を支払った年を含まず5年以内に、税務署へ下記の物を準備して申請します。
・「確定申告書」または「準確定申告書」
・病院などに支払った費用の領収書など
・源泉徴収票(原本)
・印鑑(朱肉を使用するもの)
名字を旧姓に戻す
配偶者が亡くなった場合、名字を旧姓に戻すことができます。旧姓に戻す場合は、市区町村窓口に「復氏届」の提出が必要となります。
復氏届を提出すると、配偶者の戸籍から抜けて結婚前の戸籍に戻ることになります。なお、故人との姻族関係は継続されるため、扶養や養育などの義務と権利もそのまま継続することになります。
また、復氏届では子どもの戸籍は変更されません。子どもを新しい戸籍に入れる場合は管轄の家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」を提出する必要があります。
姻族関係を終了する
配偶者が死亡すると、婚姻関係は終了します。
ただし、配偶者の親族との姻族関係は継続されます。市区町村窓口に「姻族関係終了届」を提出することで解消することができます。
姻族関係にある場合、故人の両親の扶養義務などがありますが、関係を解消すればそれらの義務から解放されます。手続きにあたって故人の親族の了解・了承を得る必要はありません。
なお、配偶者との親族関係は解消されないため、相続に影響することはありません。
事業を引き継ぐ
故人が営んでいた事業を引き継ぐ場合、一旦廃業手続きを行った上で開業の手続きを行います。
廃業の手続きを行う
故人が亡くなった日から速やかに「個人事業者の死亡届出書」を税務署に提出します。
提出が済んだら、準確定申告を行います。自営業者のように、給与所得者ではない人が年の途中で亡くなった場合、亡くなった年の年初(1月1日)から亡くなった日までに確定した所得金額と税額を計算し、亡くなった日から4か月以内に、申告・納税しなければなりません。
開業の手続きを行う
飲食店や食品販売などの事業を引き継ぐ場合は、事業者の地位を承継した相続人が営業許可を取得しなければなりません。
開業から1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出します。
